次章予告
リルたちは祭器の痕跡を求めて水中都市スレイシェを訪れる。
そこはラナイの故郷であり、リュウキにとっても馴染みのある場所だった―――
「ラナイ!?ラナイじゃない!!3年ぶりじゃないの・・・!」
「はい。すみません、本当に久しぶりになってしまっ」
ラナイの言葉の途中で、ジェスナはがばりと彼女に抱き付いた。
イオは言いかけたところである人物に目が留まった。
「・・・リュウキ?」
「・・・やっぱりお前イオか」
二人は互いに自身の名前を言いあった。
一見平穏そうに見える街。だが水面下では―――
「・・・男3人もいてまだ娘一人捕まえられないとはな。お前たち遊んでたのか?」
怒りを堪えた口調で長い黒髪の男は言った。
「い、いや、そんなわけないじゃないですかイサグ兄貴。これには訳が・・・」
それに対し親分っぽい男がおずおずと口を開く。
「たっだいま!!ノイちゃんの予想通りだったよ!!」
「んーそっかー」
ナナスケの言葉を聞いて、ノイエスは一瞬真面目な顔をする。
「神殿のやつらの話だと<深緑の聖女>が今ここにきているようだ」
「その聖女って、あの?」
「ああ」
「へぇ・・・あっちから来てくれるなんて、探す手間が省けたね」
少年はふっと目を細める。子供には不似合いな冷酷な光が差した。
神殿の異変に気付き、リルたちは二手に分かれてその解決に奔走するが―――
思わずオウルは目を閉じそうになるが、片目だけにとどめた。だが次の瞬間にはローブ男の蹴りを腹にくらっていた。
「オウルさん!!」
吹き飛んだオウルに驚き、ラナイが慌てて駆け寄る。
「・・・!?」
リュウキの体の奥で一瞬何かがざわつく。
(なんだ・・・?<虚獣>か?)
この感覚は、<力>が何かに反応した感じだ。
リルは咄嗟にヴァレルの方に駆けよろうとしたが、眩暈に襲われてがくんと膝を折ってしまった。
(力が・・・入らない・・・!?)
血を流し過ぎたのだろうか?いや、これでも多少は傷の回復に聖力を回し、血は止まってきているはずだ。
はたして、リルたちは祭器の行方を掴むことができるのか――――――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
※予告に合うように実際の文章と変えているところがあります。